人と木のまじわり

木の戸籍|Wood Register

ブラジリアンローズウッド

Dalbergia nigra


呼称・解説
ツルサイカチ属(Dalbergia)のローズウッドのなかでも、最高峰とされる一種。ブラジル産。日本では古くから「ハカランダ」と呼ばれる。同じ仲間を、アジアでは「紫檀」と呼ぶ。
分布・産地
ブラジル南東部、リオデジャネイロからバイーアにかけての大西洋岸森林。限られた土地にしか育たない。
杢・木目
赤褐色からチョコレート色の地に、黒い縞が大きくうねる。蜘蛛の巣とも、風景とも呼ばれる杢が現れることがある。
色・木肌
赤褐色から、紫を帯びた黒褐色へ。油分に富み、磨くと深く澄んだ艶が生まれる。黒みの強い材は、とりわけ珍重される。

成り立ち

ゆっくりと育ち、緻密で重く、油を含む。よく響く木として知られ、20世紀なかばまで、数多くの名器がこの木で作られてきた。一度失われた森は、容易には戻らない。

香り

削れば、花のような甘い香りが立つ。「ローズウッド=薔薇の木」の名は、この香りに由来する。

希少性の背景

美しい杢と豊かな響きゆえに乱伐が進み、20世紀後半には資源が枯渇した。1992年、ブラジリアンローズウッド(Dalbergia nigra)はワシントン条約(CITES)附属書Ⅰに掲載される。これは商業目的の国際取引を原則禁じる、最も厳しい区分である。いま流通するのは、条約以前からの古い材か、特別な許可を得たものに限られる。新たに伐り出される木は、もうほとんどない。

二度と育てられぬ森から来た木。その響きと、甘い香りが、いま手のなかにある。

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