人と木のまじわり
木の戸籍|Wood Register
瘤材
Burl
- 呼称・解説
- 木の幹や根もとにできる、こぶ状のふくらみ。そこを挽いた材を「瘤材」と呼ぶ。多くの樹種に、まれに生じる。
- 分布・産地
- 特定の産地はない。樹種を問わず、一本の木のごく一部に、思いがけず現れる。
- 杢・木目
- 繊維が渦を巻き、無数の「眼(め)」が散る。まっすぐな木目とはまるで異なる、玉杢・鳥眼杢などと呼ばれる複雑な文様を見せる。
- 色・木肌
- 色は、もとの樹種のものを受け継ぐ。詰まった繊維ゆえに、磨くと深く密な艶が生まれる。
成り立ち
なぜ瘤ができるのか、その仕組みは完全には解き明かされていない。傷や菌、芽の集まり、環境の負荷——さまざまな要因が重なり、眠っていた芽が一斉にふくらむことで、渦を巻く繊維が生まれると考えられている。木が抱えた異変が、そのまま文様になる。
香り
香りは、もとの木のものを宿す。瘤であること自体に、特有の香りがあるわけではない。
希少性の背景
ほとんどの木は、挽くに足る大きさの瘤を持たない。生じること自体がまれで、同じ文様は二つとない。古来、世界中で「木の華」として珍重されてきた。
木が異変のなかで結んだ、ひとつだけの文様。
人と木のまじわり
木の戸籍|Wood Register
屋久杉
Cryptomeria japonica
- 呼称・解説
- 千歳以上の杉だけが「屋久杉」。それより若いものは小杉。
- 分布・産地
- 鹿児島県・屋久島
世界自然遺産|1993年登録 - 杢・木目
- 緻密に詰んだ年輪。まれに笹杢・鶉杢・光明杢があらわれる。
- 色・木肌
- 淡い飴色から赤褐色。生木(立木)は発色があり土埋木は落ち着いた色味。
成り立ち
屋久島は花崗岩の島で土壌が薄い。また日本最大の雨量と台風が多く、杉の成長を遅らせ、年輪を密に詰ませ、樹脂を深く蓄えさせる。脂を含んだ材は腐りにくく、ふつうの杉の寿命をはるかに超えて生きる。屋久杉は特別な種ではなく、本州にもある一本の杉が、島と、長い時間に変えられた姿である。
香り
脂を豊かに含むため、香りが強い。深く澄んだ杉の香り。峰の屋久杉ほど香ばしい。
希少性の背景
生きた屋久杉は世界自然遺産に守られ、いま伐ることはできない。材として出会えるものの多くは「土埋木(どまいぼく)」。江戸の頃に伐られ、使われずに山へ残された切り株や倒木である。長い年月を森で過ごし、樹脂に守られて朽ちずにきた木を、許可のもとに譲り受ける。
すでに伐採されて残る屋久杉の断片をどう有効活用していくのかは、銘木に携わるすべての関連事業者の課題です。
この一点が、見つめてきた時間
推定樹齢 1000年
― 右から左へ、この木が芽吹いてからの歳月を ―
西暦1026年ごろ
この木、芽吹く
1192年
源頼朝、征夷大将軍に
1274年
元寇(蒙古襲来)
1338年
足利尊氏、室町幕府をひらく
1467年
応仁の乱
1543年
鉄砲、伝わる
1573年
室町幕府、ほろぶ
1582年
本能寺の変
1600年
関ヶ原の戦い
1603年
徳川家康、江戸幕府をひらく
1853年
黒船、来航
1868年
明治維新
1904年
日露戦争
1923年
関東大震災
1945年
第二次世界大戦、終わる
1964年
東京オリンピック
1989年
平成、はじまる
2019年
令和、はじまる
2026年
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